ミッドウェー海戦


ミッドウェー攻略と敵機動部隊への攻撃という2つの曖昧な作戦目的のまま出撃した日本軍「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」の四空母に対して、早くから日本の暗号電文を解読し、ミッドウェーに来ることを知っていた米軍は、これを迎え撃つため、「エンタープライズ、「ホーネット」「ヨークタウン」の三空母が出撃した。
昭和17年6月5日ミッドウェー島にたいして攻撃をおこなっていたさなか、索敵機から空母発見の報が入った。しかし遅すぎた。敵機動部隊攻撃用においていた雷撃隊は「付近に敵艦隊なし」という判断から、魚雷から爆弾に換装して、ミッドウェー島攻撃の準備を終えたところであった。このまま爆装で出撃させていればよかったのだが、南雲長官(後、サイパン島にて玉砕)はまた魚雷に換装させたのである。更にミッドウェーから帰還した飛行機も魚雷を積むために着艦させた。
そうこうしているうちに敵の空母からの雷撃隊がやってきた。しかし護衛なしの雷撃隊はことごとく零戦隊に撃ち落とされた。
やがて準備も整い、赤城から第一機目の攻撃機が発艦した。あと5分もすれば、全機発艦できる。ちょうどその時、雲の切れ目から急降下爆撃が次々に舞い下りてきた。あっという間に三空母は艦載機とベテランパイロットを満載したまま炎上したのである。
無事だった飛龍から発進した攻撃機はヨークタウンを大破。しかしこの後エンタープライズからの攻撃機により、大破炎上。日本はこの日一気に四空母を失ったのである。



雷撃隊員の証言

エンジン付近から炎をあげ墜落する97式艦攻


ミッドウェー攻撃から帰ってきて、「加賀」の搭乗員待機室にいたとき、ドーンというものすごい振動があった。「やられたぞ!」みなの顔が緊張している。爆発音は続いた。「だめかもしれん」その時、部屋の一角が破れ、炎と黒煙がはいってきた。息ができない。我先にと出口に押し合う。やっとのことで甲板にでると格納庫で誘爆しているのか、飛行甲板がめくれあがって吹き飛んでいる。そんな中で消火隊が命がけで火を消そうとしていた。しかし、焼け石に水だった。ついに退去命令がでて、私たちは海に飛び込んだ。



駆逐艦乗務員の証言



「目標左ぃー!加賀上空!」あっという間に降下した爆撃機は我々の砲が回頭するまもなく、爆弾を放った。加賀の甲板から閃光が走った。赤城、蒼龍とも同様、炎上する炎は何百メートルにも達した。指揮所員たちは「えらいことになった」といっている。飛龍だけは何とか無事のようだ。やがて敵機も去り、我々は空母の乗員救出を始めた。艦を停止して、負傷者を引き上げているとき、「雷跡っ!」という声がした。みると二本の雷跡のうち一本が艦尾に向かってぐんぐん迫ってくる。艦尾には多数の救助した空母乗員がいた。ついに、ガツンと命中したが爆発はしなかった。皆、恐怖の表情で上からのぞいていた。



エンタープライズ飛行隊長の証言



私は四隻ある空母のうち、手近な二隻に目標を定めた。零戦は雷撃機にそなえてか低空にいる。ラッキーだ。目標を定めて降下に入った。その頃になって、やっと対空砲火が火を噴き始めた。爆弾を落下させる直前、甲板上に航空機が満載になっているのがわかった。急降下爆撃は成功した。ふりかえると三隻の空母が炎上していた。帰途につくと後方から零戦がおそってきた。激しい衝撃を感じ、後ろを振り返ると射手が倒れていた。エンタープライズに着艦すると、ヨークタウンが敵攻撃隊にやられている最中だった。



飛龍雷撃隊員の証言

弾幕の中のヨークタウン


「赤城がやられている」という声で甲板にあがってみると加賀、蒼龍とも巨大な火炎をあげていた。しばらく呆然としていたが悲痛な気持ちの中「敵討ちをせねば」と心に誓った。発艦準備をする。零戦6機、艦攻10機、ちょっと前まで100機以上の航空機があったというのに・・・。一時間ほどの飛行で敵空母が見えてきた。そのときグラマンの攻撃に合い、我が機は穴だらけになり、射手は足を撃ち抜かれた。弾幕の中に突入するともうグラマンは追ってこなかった。激しい対空砲火を抜け、魚雷を投下した。「ヨークタウン」の艦橋をかすめ飛んだとき、火だるまの隊長機が空母に体当たりしていた。魚雷は空母の中央付近に命中した。無事帰り着いたのは半数ほどであった。


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